審判委員会より当協会の審判員である佐田 明美氏を「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技」に派遣を行いましたので、報告致します。
大会名
令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技
開催地
新潟市 新潟市東総合スポーツセンター 秋葉区
開催期日
令和3年8月10日(火)~12日(木)
※8月6日(金) 審判会議・研修会 zoom
審判会議・研修会
研修①「インテグリティ」
JBA 審判委員長 宇田川 貴生氏
- コロナに対する対応
- コロナ感染者発生した学校へのネットでの誹謗中傷が起こった原因→ 事前対応していればここまで大きくならなかった
- コロナは収束していないが事業は実施→健康チェックシートの徹底。
- JBA インテグリティとしての暴力暴言根絶の取り組みについて
- インハイ TV で映像配信するが無観客なのでコーチの声がよく聞こえる。インテグリティに関する発言があった場合はシンプルに TF を宣する。
- 男子日程では3本の TF あり
- 抗議の取り扱いについて
- 重大なトラブルを防止するために
- チームから問い合わせがあった場合はクルーとして対応する
- TO は仲間。高校生だからといって高圧的にならリスペクトして対応する。
- 最終的な判断は審判がおこなわなければならない。
研修②「新潟 IH 成功に向けて」
JBA インターハイ担当 有澤 重行氏
- 審判員としての行動規範
- 心身ともに万全を期して新潟入りしてほしい
- コロナ禍での大会開催なので周囲の目は厳しい
- PGC について
- クルーチーフを中心に充実したものを
- 審判員確認事項
- チームと審判側で共有する情報(前日の監督会議で伝達する内容)
- レフリーマスク、ホイッスルカバーの着用。笛が聞こえづらい状況の中、トラブルを防止する観点からも笛ははっきりとした1回のコールを意識
- 地元審判員との共有事項
- 自身がインターハイを成功させるという主体的な取り組みをする
- 高校生の一生懸命な姿に負けないよう、ゲームにマッチした走力を発揮する
- 正しい判定の裏付けはメカや IOT のベーシックから。正しい位置、アングルで判定する努力を。
- PGC について
普段している PGC に加えて- 処置ミスゼロ
- ミスが起きないためにクルーとして何ができるか。ミスが起きたときに次に何ができるか
- トラベリング→基準やルールが変わったわけではない。
- 動きながら足が付いた状態でボールをつかんだ時に0歩目が適用される。それ以外の状態はこれまでの判定を。ゲーム序盤で公平感あるトラベリングのテンポセッティングを。
- ショットの見極め(FUL)
- タフなショットを打つ選手が増えた。3点、2点、プロテクトシューター、キックアウト、アクティングについて安定した辺帝ができるように
- RFG(インテグリティ含む)
- 男子ゲームでは1件(選手への高圧的な態度)
- 処置ミスゼロ
- TO との連携について
- コロナの影響で JBA 講師との事前研修ができていない。
- それぞれの役割はできるが全国大会へのマインドセット、タイムアウトの請求等が不十分化もしれない。
- ゲーム前40分の TO とのミーティングも含め、レフリーがクルーとしてコミュニケーションを取ってほしい。
担当ゲーム(女子1回戦)
富岡東(徳島県) vs 鳳学園(石川県)
相手審判
CC:古畑香子氏(S級) JBA 講師 U1:佐田明美 U2:山本達也(富山県 A級)
Pre-Game Conference
- 処置ミスゼロのためには、ベーシックな IOT とメカが必要。
- 3or2 のヘルプ。速攻時のリードのピークは必ず
- PCG に則って明らかなトラベリングは最後まで宣していく。序盤が肝心。
- ライセンスに関係なく、公平・公正に吹く。
- ポストのトラベリングはトレイルが吹いても良い。リードはレフェリーDF をしているので。
Post-Game Conference
- 決断力はある。ブロックチャージは合っているけど、動きながらの判定になっていないか。
→ステイウィズザプレイで!先に動く。ステーショナリー&ディスタンス。 - RFG に関して、コーチやトレーナーへの働きかけ、どんな声かけができるか?
- FOM→留学生の守り方。小さいから引っ付いて守る。どっちに責任がある?=DF
担当ゲーム(女子2回戦)
埼玉栄(宮崎県) vs 柴田学園(青森県)
相手審判
CC:松永航平氏(東京都 A級) U1:佐田明美 U2:伊藤純一氏(長野県 A級)
Pre-Game Conference
- リードローテーション →崩れそうになったらビジーに合わせる
- ショットクロック、タイマーの管理 →全員が情報を持つ。センター側に落ちるシュート。リングに当たったかどうか。
- PCG →身長差のある選手を(日本人同士)どう守るか? 飛び込みリバウンド
→シュータープロテクト。FUL を確認。 - 映像確認(チーム情報の共有)
Post-Game Conference
- プレカン内容の通りの内容で、1,2Q にファウルの整理ができた。
- ゾーンではあったが、リードのローテーションをもっと積極的にすれば良かった。
- お互いにメンバーを下げた時に、最後まで基準を徹底すべきだった。
担当ゲーム(女子3回戦)
熊本商業 vs 明星学園(東京都)
相手審判
CC:山内正隆氏(長野県 S級) U1:中江洋美氏(石川県 S級) U2:佐田明美
Pre-Game Conference
- トラベリングの基準 →負けている方だから吹かないはなし。両足ミート。
- ローテーション
→C サイドのコフィンコーナー、センターが行って戻る。誰も行かないはなし。ダブルトレイルになっても仕方ない。
→ローテーション完了でトレイル、リードがアイコンタクトを取れたらよい。
→ゾーンになった時は待つ。留学生がいるサイドは厚く。いなければ、ボールが下に下りたらとポーズしたとき。 - センターがボールウォッチャーになるとカバーに来た選手に目が当たってない時がある。
- チーム情報の共有
熊商→トラベリングの基準、ドライブ、ビッグマンの守り方、上から被せてくる、ボールを持ってから速い攻め。
明星→留学生2人、33番、コーチとのコミュニケーション、堅い守り方
Post-Game Conference
- トラベリングについては明らかなものを取り続けるメッセージを送る
- 留学生の肘が日本人プレイヤーの顔にくる。
- 選手が変わった時に、ファウルやバイオレーションを探さない。
- リード→クローズダウンをするのかセットアップポジションをとるのかをもっと意図をもってはっきり使い分ければ、見えるものが違って(明らかに)なる。青のライン 50am くらいを基準に。後ろに下がりすぎ。
- クローズダウンからミッドレーンをうまく使う。ピンチザペイントからミッドレーンまでを、ゆっくり、 パスバックがあればバックペダル、センターサイドにポーズすればローテーションすればよい。
今大会に参加しての感想など
直前にコロナ感染者が各地で増えていく中、2年ぶり、男女別日程での開催となったインターハイでした。男子日程では3チームが辞退となり、女子日程では新潟県の審判委員会の方々も、長岡でのコロナ対策をもうひと段階あげて対応していました。検温、消毒はもちろん、移動バスの乗車率は30~40%、昼食時は対面なしで黙食、審判控室の常時換気と1時間おきの消毒、更衣室についても審判員が使うたびに消毒をし てくださいました。派遣された審判員がゲームに集中できるよう、一人の陽性者を出さないとの強い覚悟を感じました。
このインターハイ研修の重点項目である①処置ミスゼロ②トラベリング③ショットの見極め(FUL)④RFG (インテグリティ含)について感じたのは、これを実践するためのメカや IOT を身につけることの大切さです。処置ミスをしないためのクルーの協力、トラベリングやショットを見極めるためのエリアやアングルの理解と実践、クルーとしてのベンチの管理、S級の方々はやはり「ベーシックに」という言葉を使われていました。
・処置ミスゼロを目指して、全審判員が共通して行っていたこと。
フリースローの前に必ずアイコンタクトを取って、フリースローの本数を確認する。特にコーリングオフィシャルは確実にシュートの本数を指で示していた。小さなことかもしれないが、当たり前に全てのフリースローの場面で徹底していた。
この経験を県内でも共有し、自身の審判技術の向上にも生かしていきたいと思います。
このような状況下で大会を開催してくださった全国高体連および新潟県の関係者の皆様、派遣してくださった大分県協会、審判委員会の方々に感謝し、報告といたします。